No. 01
愛宕山連歌会と利三の沈黙
1582年5月28日、光秀主催の愛宕百韻(連歌会)。光秀は発句として「ときは今 あめが下しる 五月かな」と詠んだ。
「とき」は光秀の出身「土岐」氏に通じ、「あめが下しる」は「天下を治める」とも読める。後世、これを謀反の宣誓と解釈した。
利三は、この連歌会に参加していた記録がある。筆頭家老として主君の隣に控え、この句を聞いた。利三が句の意味を悟っていたかどうか——利三は何も書き残していない。
言わないこと、書かないこと。それもまた、武人の誠意だったのかもしれない。