No. 01
月照との入水——生き残った男の罪
1858年、主君島津斉彬が急死し、安政の大獄が始まる。西郷が匿っていた尊攘派の僧・月照は、幕府に追われる身となった。
藩にも匿えなくなった西郷は、月照と共に鹿児島湾に身を投じた——二人同時の入水自殺。
月照は死亡、しかし西郷だけが生き残った。奇跡的に助けられたが、自分だけが生き残ってしまったこと——この罪悪感が、以後の西郷の行動原理を規定する。「生き残った者の責任を果たさなければ」という感覚。
後に西郷が戊辰戦争で無血開城を選んだのも、この経験が背景にある可能性がある。流血を最小限に抑えることは、死んだ者への贖罪だった。
